転送屋さん3

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転送屋さん。
私がよく利用するサービス。
好きなものを、好きな場所へと一瞬にして転送してくれる。
今日は一大決心をして、転送屋さんへ電話を掛ける。
「はい、転送サービスです。ご用件をどうぞ」
「私の……私の恋心を、あなたへと届けてください」
私は、いつも電話越しだけで聞く、まだ見ぬ彼の少し冷たい声に恋をしてしまったのだ。

ドキドキが止まらない内に、いつものように折り返しの電話が掛かってきた。
「お世話になっております。ただいま転送が完了いたしました」
「それで……それで、私の気持ちは届いたのでしょうか?」
「はい、たしかに転送が完了しました」
「返事はいただけるのでしょうか?」
「申し訳ありません。お客様の恋心はたしかに頂戴いたしました。ですが、お気持ちにお応えすることはできません」
無機質な合成音声がそう答えた。
そこに少しの哀しみが含まれているように感じられたのは、気のせいだろうか。
恋愛
公開:18/06/06 02:14
更新:18/06/06 03:16

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
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