お守り替わりのヒラメ

最近女子高生の間で、鞄にヒラメをぶら下げるのが流行っているらしい。
カレイではない。ウーパールーパーでもない。
カレイ目カレイ亜目ヒラメ科の、左を向いている、ヒラメ、である。

発端はテレビの討論会だった。
「痴漢撃退の良い方法はないか」という話の中で、触ってきた手に何か印をつけられれば良いのでは、という声があった。
どうせなら印だけではなく、反撃もしたい。触ってきた手をひっかくくらいのことはしてやりたい。
しかし！自分の手でひっかくのは嫌だ。爪が痛むし、なによりキモイ。
そこで目を付けたのが、ヒラメである。
ヒラメの歯は大きく鋭い。その歯で相手の手をひっかくのだ。刃物ではないので、鞄にぶら下げていても問題はない。薄いから邪魔にもならない。

そうして女子高生の間でヒラメをぶら下げるのが流行ったのだが、ブームはすぐに終わった。

痴漢を撃退する以前に、猫に襲われる事件が多発したのである。