叶書

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古びた街の古びた図書館に。
不思議な本があるらしい。
本に不可能の文字はなく、どんな願いも叶えてくれる…素晴らしいものであると聞く。
人々はその本を“叶書”と書き、“としょ”と呼ぶ。

ある男が図書館を訪れた。
男は少し迷いながらも、その本を見つけた。
そして、男は本を開き呟いた。

ある女が図書館を訪れた。
女は確かな足取りで、その本を見つけた。
そして、女は本を開き呟いた。


男も女も。
図書館から帰る姿は見えなかった。



もう一つ、その本には噂があった。

その本は人々の願いを叶えるごとに、ページが1枚失われていく。実はその失われたページが、望む者の代償であること…。


もうあと1ページしか残っていない。


さぁ、本の最後のページ…4249ページ目は貴方のものだ。

あなたには最期のページを破く勇気があるだろうか?
ホラー
公開:18/06/06 22:49
更新:20/12/22 15:58
記念すべき10作目

すみれ( どこか。 )

書くこと、読むことが大好きな社会人3年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』



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