七夕ミッション

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家族も友人もなく彼女もいない。趣味もなく運動もしない。休日は何をするでもなくただただ時間だけが過ぎていく。勝手気ままな自由生活と言えば羨む人もいるだろうが果たしてこれで生きていると言えるのだろうか…
そんな鬱な気分でいると郵便受けに何かが放り込まれた音がした。
封筒だ。真っ白で宛名も差出人もない。中から色とりどりの短冊が出てきた。
拙い文字で、
みどりはしのゴミがなくなりますように…
こうえんのトゲトゲくさがなくなりますように…
カブトムシがたくさんとれますように…
何だこりゃ?
七夕が近いのは分かる。が、こんなものどーしろと言うのだ?
確かに緑橋の下は空き缶だらけだし、公園は雑草だらけだ。でも自分には関係ない…知るか!
と、ゴミ箱に投げ捨てた。

翌週、再び謎の封筒が届いた。
同じく短冊が入っていたが、そこには、ありがとう、の幼い文字がいくつも書かれていた。
「あとは…カブトムシか…」
ファンタジー
公開:18/06/04 18:52
更新:18/06/10 00:29

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

名作絵画ショートショートコンテスト
「探し物は北オーストリアのどこかに…」入選

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「チェアー効果」入選

ありがとうございます

 

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