一世一代の願いごと

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「この短冊に願いを書くと本当に叶うよ」
「まじで?」
「うん。はい」
「え?たった一枚?けち」
「じゃ、返して」
「うそ。ユー最高」
「じゃユー、早く書いちゃいなよ」
「ユー、ちょっと待ってよ」
「三分以内にね」
「何それ、そんなの聞いてないんだけど」
「10秒経過。残り2分48、7」
「わかったわかった。まじか、何書けばいいんだよ」
「願い事」
「わかってるよ、そんなの!ありすぎて絞り切れねえよ」
「残り2分20・・」
「わかったよ。気が散るから黙ってて!」
「・・・」
「考えろ、考えろ、俺。ここ大事なとこだぞ。人生を、ここまで負けっぱなしの人生をここで一発逆転するんだ。ええと」
男、必死の形相で短冊に願い事を書く。
「はい。タイムアップ」
「はやっ!え?もう?」
「残念でし・・・あ」
「え?」
「これなら何とか叶うかもね」
女が手に取った短冊に書かれた願い事。
『彼女と結婚したい』
その他
公開:18/06/05 22:44
更新:18/06/07 19:31

杉野圭志

元・松山帖句です。

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