私が小説を書く理由

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最愛の女性が事故で死んでから二十八年経った。
私は現実を変えるため、政府が極秘裏に完成させていたタイムリープマシンを奪って遡れる時間の限界である三十年前まで戻ってきた。
タイムリープによって私の精神は三十年前の肉体に入ることができた。
これで彼女を救えるはずだった。

私が戻ってきた三十年前は、彼女と喧嘩別れしてから一年後の世界だった。
一年ぶりの元カレからのメッセージを彼女も、彼女の友達も、聞いてくれなかった。

私は、耳を貸さない彼女にメッセージを伝える手段を考えた。
それが小説だった。
読書家である彼女がベストセラー小説を読まずにいられるわけがない。
私は彼女にメッセージを伝えるため、ベストセラー作家を目指すことにした。
残された時間は後二年、私たちの物語は終わったのでなく、始まったばかりだ。
その他
公開:18/06/03 18:06
更新:18/08/05 18:59

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