人間の卵

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おれは「人間の卵」の研究を発表した──。

記者の一人が質問をする。
「博士、人間を卵で産むのに何の得があるんです?」
「出産の負担がなくなります。お腹の中で10ヵ月も待つ必要はなく、小さな卵をポンっと産むだけで済む」
「しかし、何か問題は──」
「問題はありません。卵も丈夫で割れる心配もありませんよ」
この画期的な研究は女性たちの強い支持を得て、直ぐに実用化されることになった。母親は産んだ卵を暖かな保温器に入れ、あとは子どもが孵化するのを待つだけだった。

いよいよ、第一世代の卵が孵る日が来た。
広い室内に集められた数十個の卵は、母親たちの見守る中ぞくぞくと殻を破って出てきた。
と、そこへ一匹の野良猫が迷い込んできた。
「ニャーッ!」
と鳴く猫を、子どもたちは一斉にじっと見つめる。
おれは嫌な予感がした。

生まれたての子どもたちは、歩き去る野良猫のあとをゾロゾロとついて行った──。
SF
公開:18/06/03 16:38
更新:18/06/06 11:02

渋谷獏( 東京 )

(獏・ω・) 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。
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