どいつもこいつも

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「君!全く駄目だぞ!」
僕は課長に企画案をダメ出しされていた。
「はぁ、一体どこが……」
「一体どこがって、お前!二番、三番煎じなんだよ!どいつもこいつも、発想が貧困!」
課長は激昂している。

酷い1日だった。ビールでも飲むかと、コンビニで購入すると、七夕感謝祭だと、店員が小さな笹の枝と短冊をくれた。

『億万長者になれなすように』
願い事が叶ったら、札束を課長に投げつけて、会社を辞めてやる。グシシと笑いながら願い事を書く。
突如、目の前に男と女が現れた。
「どいつもこいつも同じ事を!みんな億万長者になったらハイパーインフレでしょ!それでいいの!もっと考えなさいよ!」
お姫様のような女性が激昂している。男性が「まぁまぁ、織ちゃん」と女性をなだめ、「願い事は独創的かつ適切にね」と念押しして消えた。
ーー願い事ぐらい、夢みさせてくれよ……。どいつもこいつも……。
ビールをグイッと飲み干す。
ファンタジー
公開:18/06/03 08:10
更新:18/06/03 19:39

十六夜博士

ショートショートを中心に、色々投稿しています。
よろしくお願いします。

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