返らないメール

かずくんはラインＩＤをくれない。
「俺、スマホじゃないから」
ガラケーでもラインできるんだよ。
「めんどくさい」
けっこう勇気出して聞いたのにな。がっかりしてたら、かずくんが同情してくれた。
「メールならいいけど」
大喜びでメアドを交換した。ドキドキしながらメールを送る。
……いくら待っても返事はこない。

「あ、メールチェック忘れてた」
ちょっと泣きそう。かずくんは同情してくれた。
「次はちゃんと読む」
メールを送る。……返事はこない。

「読んだぞ。俺はオムライスが好き」
顔を合わせた時に返事をくれるんじゃメールの意味ないよ。
「また、泣きそうか？」
全然泣きそうじゃないよ。
「顔を見て話せてうれしい」
かずくんはちょっと赤くなった。

今夜もまた、かずくんにメールしよう。
かずくんが笑顔の返信を届けてくれるから。
スマホを握ったままベッドに入る。
『おやすみ、かずくん。また明日』