サツキ

夜勤明け。
一眠りする前に一本飲むか、と冷蔵庫から缶ビールを取り出したところでインターホンが鳴った。
「郵便でーす」
ん？　なにかネットで買い物でもしてたっけ？　と思いながら玄関のドアを開けた。
送られてきたのはサツキの鉢植え。田舎の母からだった。もう六月だというのに今ごろサツキ？
その鉢植えには一枚のメモが添えられていた。

「節制」

これは……サツキの花言葉、か。
参ったなぁ、と思わず吹き出した。釘を刺された気がしたのだ。
しかし何故、わかったのだろう？　そうさ……。

健康診断に引っ掛かりましたとも。

おそるべし、母。
サツキの鉢植えを窓際に置き、空を見上げる。
雲ひとつない五月晴れ。

「体には気を付けなさい。ちゃんと再検査は受けなきゃダメよ」

という母の想いを受け、缶ビールを冷蔵庫に片付けた。
良い天気だから仮眠を取ったあと走りにでも、行くか。