大阪行きの夜行バス

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「しまった、遅れたか…」
深夜の新宿バスターミナル。僕は大阪行きの最終バスに乗り遅れてしまった。明日は朝から会議。
「参ったな…」
その時、遠くに一台のバスが見えた。
「『大阪行』何だあるじゃん」
僕はそのバスに向かった。エンジンも明かりもついてはいるが、人が乗っている気配がない。
「すいません」僕がバスの中を覗き込むと、「誰?」と後ろから運転手。
「このバス、大阪行きですか?」
「そうだよ、乗るの?」
乗るから聞いてるだろと思ったが、間に合ってよかったと僕はバスに乗った。

乗客は僕一人。1時間程バスに揺られ窓の外を見ると何だか様子がおかしい。バスは高速に入らず、山の方に向かっている。どんどんどんどん暗闇の中に入っていく。
ほんとに大阪行きか? 僕は運転手に尋ねた。
「すいません、このバス、大阪行きですよね?」
すると運転手はいきなり振り向き、鬼の形相で声を上げた。
「地獄行きですよ!」
ホラー
公開:18/06/02 20:16
更新:18/07/01 23:59
怪談 心霊 怖い話

数理十九

第27回ゆきのまち幻想文学賞「大湊ホテル」入選
第28回ゆきのまち幻想文学賞「永下のトンネル」長編佳作
一期一会。
気の向くままに書いては、読んで、コメントしています。
特に数学・物理系のショートショートにはすぐに化学反応(?)します。
ガチの数学ショートショートを投稿したいのですが、数式が打てない…
書こうと考えてもダメで、ふと閃いたら書けるタイプ。
最近は定期投稿できてないですが、アイデアたまったら気ままに出没します。

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