ガストンに苦悩と葛藤を！

1歳の息子と遊ぶ休日。ふと目新しい絵本が目に入った。
「美女と野獣」
妻が買ったのだろう。二人の思い出の映画だ。私はこれに出てくるガストンが大好きだ。イケメンマッチョで人気者。ヒロインのベルに恋して野獣と戦うナイスガイ。
彼に会うのを楽しみに息子を抱きかかえて絵本を開いた。
さすが幼児用の絵本だ。3分もせずに読み終わってしまう。
ガストンの名前が出たのは2回。
①ベルに声をかけるが相手にされない。
②野獣をナイフで刺す。
おい、これじゃ彼がただの精神異常者みたいじゃないか！こんな奴を幼児用の絵本に出していいわけない！
…そうか！ガストンの人物像に深みを持たせるのは読み手の技量にかかってるのか！
よし、やってやる！ガストンの苦悩と葛藤を表現してやる！
私はもう一度絵本を開いた。

声をかける…。

ナイフで刺す…。

無理だ。どうしようもない。
だってガストンのセリフがひと言もないんだから。