働かない男の流儀

「何もしないでどうするの？　とにかく働きなさい」
「これからのことは何か考えているのか？　とにかく働きなさい」
「ご両親に迷惑を掛けて、情けないと思わないの？　とにかく働きなさい」

大人はわかっていない。
俺には俺の正義がある。
NEETとか、社会不適合者とか、皆は色々な呼び方で俺のことを呼ぶ。
そして、働けとうるさい。
俺は働けないんじゃない、働かないんだ。
働かないことにより、社会の役に立っているんだ。
平均就業時間を下げているのは俺。
過労死がまだあのラインで留まっているのは、過労死しない俺のおかげだ。何せ働いていないんだからな。
給与0円の俺がいるからこそ、平均給与が下がる。このことによって、賃金改正の主張がし易くなる。

何、統計には無職は入れていないだと？
差別だ！
働いていないというだけで、母数に入れないのは差別だ！
俺は断固戦うぞ！

「その前に働け」

声が聞こえた。