ぽつぽつ

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「ママ~、ぽつぽつ。」
「あら、本当だわ。雨がぽつぽつしてきたわね。」
ぽつり、ぽつり。ぽつん、ぽつん。
3歳になる息子と家路に急ぐ。
「違うの。ママ、ぽつぽつ。ここぽつぽつ。」
息子が腕を差し出す。
「あら本当。なんかぽつぽつ赤いのが出来てるわね。虫刺されかしら。何かにかぶれたのかしら。」
ぽつぽつ。ぼつぼつ。
家に帰ってから、息子の体を点検する。赤いぽつぽつが広がっている。なんかの病気かしら風疹とか麻疹とか。おでこに手を当てる。
「熱はないみたいね。」
夜、布団に入り、隣に寝ている息子に目をやる。
眠っていたと思った息子がパッと目を見開き。
「ママ~、ぽつぽつ。」
外を指さした。
ぽつぽつ?2階の窓のカーテンの隙間から外を見る。
深い暗闇の中、灯りか、獣の眼か、もののけか。ぽつぽつと点在をしている光がまっすぐとこちらに向かい、点が繋がり、大きくなる。

「ぽつぽつがくるよ。」
ホラー
公開:18/05/30 10:59

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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