海があふれる

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女の子はおばあちゃんから、小指の先ほどの小瓶をもらった。
中にはほんの少しの水が入っている。
「開けてはいけないよ。海が溢れてしまうからね。」
女の子はその小瓶を大切にしていた。
何年もの月日がたち、大人になった女の子は、小瓶のことを思い出した。
宝箱にしまいこんでいた小瓶は、もらったときのまま、そこにあった。
女の子はおばあちゃんがいったことを思いだし、ふっと笑いながら瓶のふたを開けた。
「何にもおこるわけない、か。」
そのとき、電話がなった。

彼女の大切な人が亡くなったという知らせだった。

彼女の瞳から涙が溢れた。
身体から生まれる、海の水が溢れ出す。
ファンタジー
公開:18/05/30 03:10

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