面白い顔

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僕は面白い顔をしている。どこがどういう風にというパーツの詳細はここでは割愛しておく。 
各々、どう考えてもつい笑ってしまうその顔を想像してくれればいい。

保育園では高い高いをする先生が、小学校では出席をとる先生が、こぞって吹き出す。そんな顔をしている。

悲しい時も、寂しくて辛い時も、みんな僕を見て笑う。「何でそんなに笑ってるの?」と言われた時は驚いた。
だって僕は泣いていたんだもの。

そんな僕も大人になって、良い人と巡り合って、結婚することができた。
仕事もして、子供もできた。孫もできて、街は大きくなって、
僕はおじいちゃんになった。そして人生を終えた。

お葬式の日、たくさんの人が来てくれて祭壇の僕の写真を見てやっぱり笑っていた。
でも、僕は嬉しかった。

僕にもちゃんと役目があったんだって。ずいぶん最後になってしまったけど、
僕にもちゃんとあった。

心を、温めていたんだね。
ファンタジー
公開:18/05/29 23:15
更新:18/05/29 23:19

二十一 七月

にそいち なながつ

まずは100話お話を作るのが目標です。

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