ポッケ

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洋裁が好きだった母は、良く私の服を作ってくれた。小学校を卒業するぐらいまでは、私の持っている服は8割ぐらい母が作った服だった。
中学に入って制服を着るようになり、手作りの服が少し恥ずかしくなってきたこともあり、母の作った服を着なくなってしまったのだが、今でも覚えてることがある。
母の作った服には、不思議な力があるのだ。例えば、テストなのに消しゴムを忘れてきたことに気付いて困っていると、ポケットの中にいつのまにか消しゴムが入っている。
それは時に小銭だったり、ハンカチだったり、お菓子だったり、必要な時にいつのまにか必要なものがポケットに入っているのだ。
そんなことを懐かしく思い出しながら、亡くなった母が最後に作ってくれた服に袖を通した。
ポケットの中に手を入れると、温かく少し肉厚な母の手が、私の手を優しく包み込んだ。
ファンタジー
公開:18/05/29 23:09

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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