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彼とケンカした。楽しく電話して幸せな気持ちで眠りたかったのに、どうしてこうなってしまったんだろう。私は鼻水をかみながら冷静を取り戻そうと努める。即座に適切な言葉で表現できない頭、勝手に出てくる涙が腹立たしくてどこにもぶつけようがなかった。はやく眠ろう。そう決めて布団にもぐる。彼の顔が、発した言葉が、闇にひらいていく。
「誰かに甘えたい」
その瞬間、私は目に見えない「誰か」に猛烈に嫉妬した。どうして私じゃだめなんだろう。いや、今の私じゃだめだったんだ。自惚れていた。すこしくらいはそういう部分を見せてくれていると勘違いしていたのだ。ばかみたいだと思った。
彼が「ごめん」と言ったとき、私は誰に対して怒っているのか、そもそもこれが何なのかわからなくなった。名前がつく前の感情を経験していた。
「もう寝よう。寝た方がいい」
ふてくされたような言い方になってしまった。それでも時間が必要だった。
「誰かに甘えたい」
その瞬間、私は目に見えない「誰か」に猛烈に嫉妬した。どうして私じゃだめなんだろう。いや、今の私じゃだめだったんだ。自惚れていた。すこしくらいはそういう部分を見せてくれていると勘違いしていたのだ。ばかみたいだと思った。
彼が「ごめん」と言ったとき、私は誰に対して怒っているのか、そもそもこれが何なのかわからなくなった。名前がつく前の感情を経験していた。
「もう寝よう。寝た方がいい」
ふてくされたような言い方になってしまった。それでも時間が必要だった。
その他
公開:18/05/30 21:08
短編
ショートショート
小説
400字物語
一話完結
各話完結
連載
400字のことばを紡ぎます。
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