幻想動物見聞録『プロトコル』

研究施設は小さな古民家に偽装し、該当研究員はその家主として振る舞うものとする。
面談を行う際、面談者と研究員の間にはテーブルを配置し、向かい合わせを原則とするが友好度次第では研究者の判断に委ねるものとする。

機関の目的は対象物の追求や研究ではなく、それに関わる対象者の心理的変化への経過観察である。面談は面談者の独白を基本とし、こちらから余計な情報を与えたり指し示してはならない。対象物の有無や信憑性については、仮に対象物が持ち込み不可だったとしても否定してはならない。

研究機関の性質上、面談者から『先生』と呼ばれるケースが多いが、素性の詮索に応えることは禁則事項とし、違反した場合は当該研究から外されるものとする。

現時点で人類に敵意を抱く対象物を発見するに至ってはいないが、事故に備え面談室の外には武装した職員を配置する。

録音データは保管され、これを『幻想動物見聞録』と呼称する。