うどん屋で基礎英語

女性店員にインドからの旅行者が怪しげな英語で尋ねた。
「THIS？」
「うどんです」
「UDODES？」
「うどん」
「UDON」
「イエス」
メニューの写真を指差しながらぺらぺらとヒンディー語で彼女に何か話しかけるが、彼女は毅然と「いんぐりっしゅ」と言いきる。客は「UDON」と注文した。
「何うどん？」
彼女は日本語ではっきりと尋ねた。
「NANI?」
「ホワッツうどん」
「Whats?」
メニューにずらっと並んだ写真を指差しつつ彼女が説明する。
「エッグうどん、テンプーラうどん、フォックスうどん」
「Fox!?」
「イエス、フォックスうどん」
「……FoxUDON」
注文した丼が置かれると客は巧みな箸使いで揚げをつまみ、しげしげ眺めた。目を瞑り揚げに噛みつく。
彼女が後ろに立って「どう？」と聞いた。
「アチャー」
ヒンディー語で「美味しい」と聞いた店員は狐につままれたような顔をした。