眠れる森の美女

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王子は、茨を剣で薙ぎ払いながら、道を進んでいた。

この森の奥深くには、立派なお城があり、そこには百年の眠りの呪いをかけられた、美しい姫が眠っているというのだ。
噂によると、百年の眠りの呪いを解くべく、キスをした王子と結ばれるというのだ。
「待ってろ、姫。君の唇を奪うのは、この僕だ。」
そして、王子は見つけた。
「やったぞ!見つけた!これが眠れる森の美女が住むお城だ!」
王子は鼻の穴を膨らませた。
「なんて美しい姫なんだ。」
王子は姫に近づくと、その小さな唇にキスをした。
そのとたん、姫は目をさました。さらに、かっと目を見開くと、王子の唇を自分の唇の中に吸い込んだ。


えっ?なに?

それが王子の最後の記憶だった。
ずるずると王子は、姫の中に取り込まれて行く。
最後に足がスポンと姫の口におさまると、姫はごくりと喉をならした。

「げふっ。」
大きなげっぷをすると、姫は再び眠りについた。
ホラー
公開:18/05/29 15:44

よもつひらさか( 山の中の森 )

短編小説を主に書いています。
収録作品
「五分後に驚愕のどんでん返し」ー記憶喪失ー(河出書房新社)
「ためしに怪談聞いたら、やっぱり幽霊いるし怖すぎた。」ー探し物ー(竹書房)
「千人怪談」-さよちゃん-見られている-(二作品) (竹書房)
「5分後に緊迫のラスト」-マリッジブルー(河出書房新社)
書店、Amazonにて発売中
「エブリスタ」投稿しています。
第10回ノベリスタ大賞 最優秀賞受賞「ヤマモトヒロシ」
「怖話」にて怖い話を投稿しています。
 

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