借り物競争

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小学校に通う息子の運動会に行ったときのことだ。
6年生の借り物競争。「~貸してください」という声があちこちからしていた。
「誰かオメガの腕時計をお持ちではないですか?」
「ヴィトンのバッグ貸してください!」
中にはとんでもないものを要求する子もいるようだ。
そんな中、私の所にも一人の少年がやって来た。
「それ最新のiPhoneですよね?それ貸してください」
少年の手には「最新の携帯機種」と書かれた紙が握られていた。
私は苦笑いを浮かべながらも、少年にiPhoneを渡した。
少年は一目散にゴールへと駆け抜ける。

…借り物競争が終わっても私の手元にiPhoneが戻ってこない。
先ほどの少年を探すべく、小学校の教員に話しかけた。
「えっ?借り物競争で貸したiPhoneが戻って来ない?我々、借りるものにiPhoneを指定していませんよ?」
そこで私は気付いた。借り物競争で借りパクされたことに。
公開:18/05/27 18:19

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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