転送屋さん

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お好きなものを、お好きな場所へ――。

俺の住むオンボロアパートの郵便ポストにチラシが入っていた。
近頃流行りの転送屋らしい。
指定したものを、指定した場所へ瞬時に転送してくれる。
チラシをよく見ると、料金がかなり安い。
これは頼んでみる価値があるかもしれないな。
ゴミが散乱する部屋を見ながら、俺は携帯電話に手を伸ばした。

転送屋に電話を掛け、料金を支払う。
すると、すぐに折り返しの電話が掛かってきた。
「お世話になっております。ただいま転送が完了いたしました」
部屋を見回したが、何も変化が起こっていない。
「どういうことだ。何も転送されていないぞ」
「いえ、たしかに転送いたしました」

まさかと思い、部屋のドアを開けてみた。
まわりはゴミだらけ。
そこに俺の部屋が切り取られたように存在していた。
どうやら部屋そのものがゴミと見なされてしまったようだ。
この俺も含めて。
その他
公開:18/05/27 17:11
更新:18/05/27 20:40

undoodnu( カントー地方 )

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