小さな世界

13
110

僕は小人になっていた。それはすぐにわかることだった。おじいちゃんの姫シャクナゲの盆栽が、まるでお洒落なランプみたいに垂れ下がっていたから。芝生みたいな苔の地面に腰掛けていると、机の下で倒れている僕がいた。僕は四年生だけどわかる。あれは即死だ。
「ソファの上で飛び跳ねるなと言われたろう」
おじいちゃんの遺影が僕に話しかける。僕は頭をぽりぽりかいて笑う。
「お母さん、怒るかな」
「怒るだろう。お前が好きなんだから。一緒に逝くか?」
僕は困ってしまって、おじいちゃんを振り返る。
「お母さんのそばにいたい」
「未練が残るぞ。いいか?」
「うん。おじいちゃんの盆栽好きだし」
そうか、と言っておじいちゃんはため息ついた。
「成仏し損ねたな。まあ、あと一年……」
そう言いながらおじいちゃんは、そこにいてくれたんだ。
おじいちゃん、ありがとう。
お母さん、ごめんなさい。

僕は小人になって、そばにいます。
その他
公開:18/05/27 14:38
更新:18/05/27 14:39
盆栽展で一目惚れ 江別の方のお花 盆栽は縮図 石積みなんかさせたくない

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
https://minne.com/@sakoyama0705  - ハンドメイドマーケットminne(ミンネ)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容