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「なにか、あたしたちに用かい?」
ひとりの魔女が少女に気がついて声をかけた。
「あんたがそうやって眺めているうちは分別会議を続けられないでねぇ。用件をお言い。」
ー その死体が欲しいんです。
彼女の申し出に魔女たちは騒然となり、罵りの声もあがった。
お前のものではない、と帽子を目深に被った魔女は厳しく言い放つと黙々と死体の調査を続ける。
「罪人の死体は持ち帰り禁止なんだよ。例えお前さんが何者であっても。」
それでも…と少女は柔らかくまだ呼吸を感じられそうな白い肌にすがりついて懇願した。
ー 他には何もいらないから。
魔女は薄ら笑いを浮かべ告げた。
「いいだろう。この死体はお前に預けよう。ただし、そのままでは持ち出すことは出来ない。」
次の瞬間、濡羽色に染まった烏の亡骸が少女の手の中にあった。
ひとりの魔女が少女に気がついて声をかけた。
「あんたがそうやって眺めているうちは分別会議を続けられないでねぇ。用件をお言い。」
ー その死体が欲しいんです。
彼女の申し出に魔女たちは騒然となり、罵りの声もあがった。
お前のものではない、と帽子を目深に被った魔女は厳しく言い放つと黙々と死体の調査を続ける。
「罪人の死体は持ち帰り禁止なんだよ。例えお前さんが何者であっても。」
それでも…と少女は柔らかくまだ呼吸を感じられそうな白い肌にすがりついて懇願した。
ー 他には何もいらないから。
魔女は薄ら笑いを浮かべ告げた。
「いいだろう。この死体はお前に預けよう。ただし、そのままでは持ち出すことは出来ない。」
次の瞬間、濡羽色に染まった烏の亡骸が少女の手の中にあった。
ファンタジー
公開:18/05/27 04:33
透明な声。日々温めている思いを誰かに手渡したくてショートショートを書いています。
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