のろい

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「ねがいは言葉にすれば叶う」
担任の先生は常々そう児童に言い聞かせた。俺は半信半疑だったけど、「サンタクロースからゲームをもらえますように」と冬休み中言っていたら、クリスマスの朝、本当に最新ハードが机に置かれていたので驚いた。
それからねがいは積極的に口に出すようにした。ねがいは次々に叶っていった。

新学期が始まり、大嫌いな奴と同じクラスになった。
とにかくいけ好かない。出席の返事にさえ無性に腹が立った。あいつが居なくなってしまえばこんな風に思わないのに。

俺はねがいを口にする。
「消えろ」
そいつが目の前に居ても、
「お前なんかどこか行っちゃえ」
居なくてもおかまいなしに。
「死ね死ね死ね死ね死ね…」

あいつは車に跳ねられたと、朝の会で先生が言った。あいつはいなくなった。ねがいが叶ったのだ。ほおが緩んだ。

後ろからぽつりと呟く言葉が聞こえる。
「死ねって言う奴が死にますように…」
公開:18/05/25 21:41

砂塵

読んでいただきありがとうございます。
話のおもしろさ云々はひとまず置いといて、とりあえず一本完結させることを重視して書いてます。
朗読ラジオ「月の音色リスナー」です(^o^)/
低浮上中なのでコメント返し遅れるかもですが必ずお返しします。

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