深夜三時の戦い

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ああ、もうお腹減って死にそう!
明日食べようと思ってたケーキがあるけど、寝る前に食べたらまた太っちゃう──。

お皿の前で迷っていると、お台所の右から小さな悪魔が現れた。
「大丈夫よ、1個くらい。真夜中のケーキはもう最高」
そ、そうよね、平気よね。明日頑張って運動すれば──。
悪魔の誘惑に負けてケーキをつかもうとすると、今度は左から小さな天使が現れた。
「駄目よ〜。体重何キロだか分かってる? 社内で豚って呼ばれてるわよ」
えっそうなの?
「気にしちゃ駄目、栄養補給が一番」
「何甘やかしてんのよ」
「何、やろうっての」
「変な尻尾」
「なによその蛍光灯」
「消えろ」
「お前が消えろ」

ああ、もう喧嘩しないで。
「うるさい、黙ってろ、豚!」
と二人は怒鳴ると、また口喧嘩を始めた。
あたしは天使と悪魔をわしづかみにしてケーキの上に串刺しにした。そして深夜の三時きっかりにケーキを貪り食った──。
ファンタジー
公開:18/05/25 13:24
更新:18/09/17 15:46

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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