ブレイン・レコーダー

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無罪判決が出た。
俺はほっと胸をなで下ろした。

とは言え疑惑の目は強く、俺は連邦に所属したばかりのM星にしばらく滞在する事にした。
快適な日々を送っていたが、時の経つうちにまた俺の悪い癖が出ちまった。
殺人衝動だ──。
地球の裁判の事もあってか俺はさっそくM星の警察に連行された。なァに、今回も証拠を残さずに上手くやれたはずさ。
「ではこれを頭に付けてください」
と、取調官に謎の装置を渡された。
装置を付けてしばらく待つと、取調官は言った。
「あなたの死刑が確定しました」
「なっ、何だって、俺はまだひと言も──」
ごまかしはこのM星では通じなかった。
例の装置は「ブレイン・レコーダー」といい、人の記憶を脳から直接読み出すことができるって代物だ。
つまり俺の脳を調べれば、本当に殺人をやったのかどうかは一目瞭然なのだ。

そして、どの方法で処刑されるのが最も苦痛なのかも一目瞭然なのだ──。
SF
公開:18/05/25 13:23
更新:18/09/17 18:31

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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