フェイクシー
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「海だ!」
寂れた船着き場で青年は歓喜した。
「残念だが、これはフェイクシー、人工の海さ」
老人が話しかけた。
「嘘だ!この特有の匂いに波だってある。それに川を辿ってきた」
「本物の海はこんな気取った匂いじゃないし、波だって規則的ではない。その川もフェイクリバーさ」
「この海探知器も反応した」
青年は腕時計型の計器を見た。
「宇宙から水が大量に輸入されるようになり、大昔に存在した海を再現したのがフェイクシー。ここはまだマシだが大体はひどいもんさ」
「あんた、何者だ?それにその不純物だらけの水……腐っているじゃないか」
青年は顔をしかめた。老人の手にはグラスがあり、その水はひどく濁っていた。
「あんたの探しもんさ」
「そんな汚染水を僕は探していない!」
青年は肩を落とし、立ち去った。一瞬だが探知器の針が振りきれたことを知らずに。
老人はグラスに耳をあて、いつまでもその微かな波音に浸っていた。
寂れた船着き場で青年は歓喜した。
「残念だが、これはフェイクシー、人工の海さ」
老人が話しかけた。
「嘘だ!この特有の匂いに波だってある。それに川を辿ってきた」
「本物の海はこんな気取った匂いじゃないし、波だって規則的ではない。その川もフェイクリバーさ」
「この海探知器も反応した」
青年は腕時計型の計器を見た。
「宇宙から水が大量に輸入されるようになり、大昔に存在した海を再現したのがフェイクシー。ここはまだマシだが大体はひどいもんさ」
「あんた、何者だ?それにその不純物だらけの水……腐っているじゃないか」
青年は顔をしかめた。老人の手にはグラスがあり、その水はひどく濁っていた。
「あんたの探しもんさ」
「そんな汚染水を僕は探していない!」
青年は肩を落とし、立ち去った。一瞬だが探知器の針が振りきれたことを知らずに。
老人はグラスに耳をあて、いつまでもその微かな波音に浸っていた。
SF
公開:18/05/23 23:28
★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!
★第19回坊っちゃん文学賞大賞『ジャイアントキリン群』
★2025年12月、2冊同時刊行の電子書籍
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の選択』、六文字の返信ほか)
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ショートショートの可能性と豊かさが詰まったアンソロジーですのでぜひ!
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そるとばたあ