魔女の恋人が死んだ

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魔女の恋人が死んだ。相手は使い魔の狼男だ。捨てられ、野晒しにされている仔を魔女が気まぐれで拾った。立派な男性に成長し、親子の愛を超えて結ばれた。
その狼男が死んだ。老衰だった。別れの言葉は『愛してくれてありがとう』だった。魔女は恋人の一生を不死身のまま見届けた。
魔女は涙を流さない。魂と共に手放した心は戻らない。代わりに物書きの彼を偲んで恋人をひと瓶のインクにした。インクの色は彼の愛したインディゴブルー、いつも見上げる夜空に似せた。
魔女は言葉を話さない。契約の代価で捨てたから。彼とはいつも筆談で、慰みにとペンを取った。
インディゴブルーはペンに染み通り、魔女の心を染め抜いた。二人で過ごした夜の闇色が、魔女の魂を絡め取る。涙が止まらない。嗚咽が止まらない。彼への願いが紙を滑って止まらない。一緒に死ねたなら、と不死身の魔女は我が身を呪った。
やがてインクも涙も言葉も枯れて、夜の魔女は死んだ。
ファンタジー
公開:18/05/25 08:07
更新:18/05/25 11:01
遅れて参加の魔女集会 ねがいごと 筆記体難しかった裏話 別名『プラカードの魔女』

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw

いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
https://minne.com/@sakoyama0705  - ハンドメイドマーケットminne(ミンネ)

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