町外れ

5
105

「クソッ、実験用のモルモットが逃げやがった」
まだ明るいうちに見つけ出さないと⋯⋯。
俺は建物の外に出て「町の中」を探し回った。
見つけた。
すばしっこい奴だ。どんどんと駆けて行きやがる。
網を持ってあとを追いかけるが、なかなか捕まらない。
カチャリと音がした。
昼の時間が終わり、太陽は消え、空に丸い月が現れた。
「チッ、夜になったか。見つけるのはもう難しいな」
おれはモルモットに連れられて、今まで来たことがない「町外れ」にいる事に気がついた。
町外れの壁には空が描かれ、壁の上には月があった。
俺は月まで伸びている梯子を見つけ、好奇心からそこを登った。
丸い月を押すと「町の外」に出ることができた。
俺は生まれて初めてみる「町の外」の世界に戸惑いを覚えた。
まるで巨大な机の上のように見えたからだ。
そして上空から大きな声が聞こえた。

「クソッ、実験用のモルモットが逃げやがった⋯⋯」
ホラー
公開:18/05/25 13:01
更新:18/09/17 15:46

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
https://twitter.com/ShaTapirus
https://www.instagram.com/tapirus_sha/
http://tapirus-sha.com/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容