幼い重みと温もりに

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突然、彼が小さくなった。身体だけではなく精神も幼少期に戻っているらしい。
小さくなった彼には大きすぎる衣服を引きずりながら、私が座っているもとに歩み寄ってきた。
「大変だ、こんな姿になっちゃった」
「あら、えらく可愛い姿になっちゃったね」
しばらく私を見つめていた彼はくるりと背を向けると、小さくプリンとしたお尻を私の膝にストンとおろした。
「ちょっと……」
私は戸惑いながらも彼のあまりの可愛さに胸が高鳴った。ごく自然に彼を背中からそっと包み、ぷっくりした頬に顔を近付ける。そのちょっとした重みと温もりを肌に感じ、口元が緩んでしまう。
「あったかい……てか、可愛い」
彼は身じろぎ一つせず、私の腕の中にいた。それもそのはずで、いつの間にかスースーと可愛い寝息を立てている。
「ふふ」
私と彼の間に静かで穏やかな時が流れた。


「……て、夢を見たのよ」
「へぇ。で?」
「小さくなって!」
「無理」
その他
公開:18/05/24 23:25

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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