海のメール

メールを開くと海からだった。
「久しぶり！元気にしてる？あたたかくなってきたから顔出しなよ！」
僕が落ち込んでいる時、海はメールをくれる。
海からたずねてくることは今まで一度もなくて、いつも僕が会いに行く。
僕はそれが嫌ではなかったし、海も「君が来るのが当たり前だ」なんて言わない。
僕が浪人すると伝えた時、海は笑って
「君なら大丈夫だよ」
と言った。

久しぶりに会う海は何も変わってなくて、僕は自然と笑顔になっていた。

「海はいいよな‥浪人生は大変だよ」
「一浪だっけ？大変だよな‥
ずっと言ってなかったんだけど、実は俺も同じ‥浪人生もつらいけど浪海生もつらいよ。しかも三浪」
僕は驚いて声が出なかったけど、海は「お互い頑張ろう！」と言った。
僕が頷くと、波の音が聞こえた。

一年後、海からメールが来た。
「久しぶり！元気にしてる？あたたかくなってきたから顔出しなよ！」