連続小説 三つの願い

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ナターシャは愛する騎士リーのため、王室に忍び込み、サーヤの部屋を物色した。一体、どこにあるの。見つからないわ。あっ。彼女は戸棚に置かれた月のオルゴールを手にした。これを彼に渡せば、またあの方の寵愛を受ける事が出来る。彼女は愛の奴隷へと変貌した。いや、傍から見れば傀儡人形の様だったかもしれない。彼の思惑通りに操られているとも知らずに。探していたのはこれ。ああ、これだよ。ありがとう、嬉しいよ。良かった。さあ、祝杯だ。一緒に飲もう。二人の新たな門出に乾杯。二人はグラスを天高く掲げた。グフッ。彼女の口から大量の血が滴る。リー様、なぜっ。分からないのかい。君のそのグラスには毒が入っていたからさ。もうお前は用済みだ。私が欲しいのはこの月のオルゴール。お前など最初から眼中になど無かったのだ。短い間だったが良い夢が見れただろ。次は安息の眠りが待っているぞ。まあ、死んでしまったのでは夢は見れないか。ははは。
公開:18/05/23 19:11

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