連続小説 三つの願い
0
115
姫、私は知っていますよ。あなたは心優しき人であると。確かに王女と言う立場上、周りから少し傲慢で高飛車に見えるかもしれません。でも、あなたはその名が示す通り、心根は月の妖精の様に純真無垢なのです。ですから人の噂など気に病むことはありません。あなたはあなたが信じる道を歩み下さい。ナターシャ。それから姫は私たちが常に付き従う事を嫌がりますね。けれどあなたは王家に咲く一輪の薔薇。薔薇を美しく咲かせるには多くの愛情と手間暇が掛かります。皆、あなたに悪い虫が付かない様に気を使っているのです。あなたはそんな人達が近づいたからと言ってその茨の棘で傷つけるおつもりですか。茨の棘は身を守るためにあるのではありません。御身を美しく引き立てるためにあるのです。薔薇は棘があるほど美しい。あっ、でも眉間に皺を寄せる癖は辞めた方が良いですよ。綺麗な顔が台無しです。あなたには敵わないわね。今度はお手柔らかに願いたいわ。
公開:18/05/23 19:09
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます