連続小説 三つの願い

0
91

ああ、あなたはいつぞや、私の命を助けて下さった騎士様。なぜ、この様な場所に。それはこっちが言いたい。姫様、なぜ、この様な危険な場所に来たのです。あなたの命をまた狙う者がいるかもしれないのに。私は怪しい者が城から出て行くのを見かけたので、こっそり追いかけて来ただけです。ああ、あなたと言う人は何て無茶な事をするのだ。早くお帰りなさい。近くにいる衛兵を連れて来ます。待って、私、あの時のお礼をまだ、あなたにしていないわ。何でも仰って。父上に叶えて貰うわ。その様な物、要りませぬ。騎士として当然の事をしたまでです。まあ、真面目な方。ならば、せめて、あなたの名を教えて頂戴。申し訳ない。姫様に名乗れる様な誇れる名は持ち合わせおりませぬ。黒騎士とでも呼ぶが良かろう。まあ、黒騎士。良き名ですね。はて、この香り、何処かで嗅いだ事があった様な。ははは、それはきっとあなたの思い過ごしですよ。ありふれた香りですから。
公開:18/05/23 19:09

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容