連続小説 三つの願い

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待ちなさい
私に何か御用ですか、第二王女、マーサ姫
あなた、黒騎士でしょ。そうなのでしょ。本当の事を仰って
何を申します。私は見ての通り一介の吟遊詩人。その様な豪傑な騎士では御座いません。私に出来る事はこの竪琴の調べに乗せ、歴代の英雄譚を歌い語る事のみ。ほら、御覧なさい。この細い腕で馬に跨り剣を振るえるとお思いですか
でも、お姉様の目は騙せても私の目は騙せませんわ。あなた、なぜ、正体を隠しておいでなの。私にも話せない事なのですか
姫、人には誰にも言えない暗い過去の一つや二つあるのですよ。姫はその秘密を無理やりこじ開けようとするのですか。詮索も程々にお願いします
そうか、分かったわ。お姉様のためね。ねえ、そうなのでしょ
さて何の事でしょう。真実を知りたければ神に聞くが良かろう。彼らは常に誠実だ
誤魔化さないで。私の気持ちも知らないくせに。私がどれだけあなたの事を愛しているか
マーサ様。
公開:18/05/23 19:06

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