連続小説 三つの願い
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ああ、気高き月の聖霊よ。その麗しき癒しの声で私の魂を静めておくれ。聖霊は王女サーヤのためにその清らかな声で鎮魂歌を歌った。ああ、有難う。今日もぐっすり眠れるわ。コンコン。誰。私です。あなたを世界で一番愛する男、リーです。まあ、リー、会いたかったわ。どうして最近、会いに来て下さらなかったの。申し訳ありません。戦が長引きました。けれどあなたをお慕いする気持ちは少しも変わっておりませぬ。まあ。はて、そちらの者は。ああ、月の聖霊です。私のために鎮魂の歌を歌ってくれるのよ。聞いてみますか。ほお、素晴らしい。心が洗われる様だ。実に美しい方だ。リー、浮気は駄目よ。彼女はあくまでも聖霊。決して結ばれる事が叶わぬもの。それにあなたが愛しているのは私でしょ。失礼しました。分かれば良いのよ。おお、神よ。あなたは何と残酷な事をなさる。もう少し早くあの聖霊に会わせてくれたならばこの様な政略結婚などしなかったものを。
公開:18/05/23 19:02
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