連続小説 三つの願い
0
111
王様、お願いです。姫を私の妻に下さい。駄目だ。何故、大切な娘をお前の様な吟遊詩人に渡さねばならん。出ていけ。出て行きません。姫を手にするまでは。強情な奴だ。王様は私の良さを分かっていない。ならば、姫への愛をこの調べに乗せて歌いましょう。そんな事をせずとも良い。それでは姫を頂けるので。駄目だ。だが、条件を出そう。お前は吟遊詩人だったね。今日から千日、私の前で物語を語っておくれ。それが出来たならば娘をお前にやろう。有難うございます。はぁ~王様はああ言っていたが千日も話す物語など私にあるはずがない。そうだ、吟遊詩人はふと閃き、懐からオルゴールを取り出した。気高き月の精霊よ、私の願いを聞いておくれ。吟遊詩人が願うと月の精霊は吟遊詩人そっくりの姿になり、王様の御前で歴代の英雄譚をその癒しの声で歌うように語った。すると王様はぐっすり眠ってしまった。しめた。姫様、今からそちらに行きます。待っていてくれ。
公開:18/05/23 19:00
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます