連続小説 三つの願い

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聞いてくれ、アリエス。何ですか、父さん。お前に話しておかなければならない事がある。今まで黙っていたが。実はお前には腹違いの妹がいる。お前はサーヤ姫を知っているな。ええ、勿論。この国に住んでいる者であれば誰でも知っています。王女の名ですから。実は彼女こそお前の妹なのだ。王妃と私の間で密かに産まれた娘。もし、その事が国王の耳にでも入ればお前の妹サーヤは王の怒りの刃に散るだろう。だからお前には身分を隠し、城に潜入してもらいたい。その準備は整っている。サーヤを、お前の妹を、兄として襲って来る魔の手から救ってやってくれ。彼女が安心して暮らせる様に。お前は陰から見守るのだ。良いな、アリエス。分かったよ、父さん。すまないな。私が王国から追われる身でなければ私自身が父親としてすべき事なのだろう。でも今は指名手配の身。正体がバレれば即、抹殺されるだろう。娘すら守れない頼りない父親ですまない。後は頼んだぞ。
公開:18/05/23 18:53

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