連続小説 三つの願い
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カステリーナ王国に一人の赤ん坊が産声を上げた。その名はサーヤ。小さいながらもその美しさに皆、将来の王妃を期待した。だが、この幼気な少女が後にあんな事件に巻き込まれる事になるとはこの時は知る由もなかった。ほら、あなたも抱いて御覧なさいな。ああ、分かった。おお、何と可愛いのだ。そして軽い。まるで羽の様だ。うっかり落としてしまいそうで怖いな。ふふ、何を仰います。ほお、目元はお前に似ているな。でも凛々しい眉はあなたにそっくりですよ。はぁ~、でも希望を言うならば男の方が良かった。このままでは王家の血が絶えてしまう。そんな事は言わないで下さい。この子も私達の大事な娘ですよ。ああ、分かっている。王様。何だ。お耳を。あの捕えた男の処分はどうしましょうか。そうだな、地下牢にでも放っておけ。もし、逆らう様であれば最悪、殺しても構わん。だが、決して妃の耳には入れるな。あいつの悲しむ顔は見たくない。承知しました。
公開:18/05/23 18:51
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