ネガイウオ

4
125

まだ眠い私を着信音が叩き起こした。
海釣りに行った友人が魚を届けに来てくれるらしい。

待つこと数十分。
クーラーボックスには数匹の見慣れない魚が輝いていた。
「ネガイウオだよ。星の綺麗な夜にだけ釣れるんだ。」
ネガイウオ?
「水面を飛び跳ねる様子が流れ星に見えるからネガイウオっていうらしい。結構うまいらしいぜ。」
ならば。
彼には玄関で少し待っていて貰い、ネガイウオを薄造りにしてみた。
脂は少なめで、透き通る白身がなかなかに美味であった。
「ネガイウオは釣れる瞬間が一番綺麗なんだ。実はおれ、君に生きたネガイウオを見て欲しくて昨日友人に釣り方を教わって来たんだよ。」
彼は箸を止め、真剣な様子でこう言った。
「そこでどうだろう、君、おれと二人でネガイウオを釣りに行かないか?」
私は小さくガッツポーズをし、すぐに約束を取り付けたのだった。

ネガイウオ。
どうやら名前通りの効果があるようだ。
恋愛
公開:18/05/23 11:16
更新:18/05/23 11:33

TAMAUSA825( 東京と神奈川 )

登場することが趣味です。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容