それから

それから数日後、猛は病院のベッドで亡くなった
海で溺れていた少女の命と引き換えに
街の皆は彼の栄誉を称え海辺に銅像を作った
テレビやマスコミは毎日の様に取り上げた。馬鹿騒ぎをする様に

一方、猛の飼い犬、ポチも彼と同じ日に亡くなった
猛と同じ様に海で溺れていた少女の命を救ったのである。
浜辺にいた街の皆はその様子を遠くから眺めていた。でも・・・
「なんて恐ろしい犬だ。幼気な少女を海に引きずり込もうとするとは。危うく少女が溺れて死んでしまう所だったではないか。」
そんな理由でポチは暗くジメジメした保健所で無残にも殺処分された。
後日、少女が街の皆に真実を語るまで誰一人としてポチの事を気に留める者はいなかった。そう、誰一人として

数年後、この街にはある噂が流れた。溺れかけた少年が海中でポチによく似た犬を見たと言うのである。
長老は言った
これはきっとあのポチが死んだ後も海を守っているのだと