未来へ
0
111
夜明け前の紫色に染まる空。
境内の澄んだ空気には二人の声と、新聞配達の音だけが響く。
「もし…」
続きの台詞が出てこなくて、ぼくは口を閉じた。
若過ぎるぼくらには、出会いも、時間の流れもあまりに早過ぎた。
まだ愛の言葉を知らないぼくらは、必死に互いの存在を確かめ合うように、最初で最後のくちづけを交わした。
明るくなった境内に佇む古びた外灯が最後にジリリと鳴いて、消えた。
潮風と轟音。
雲一つない青空の中、大きく旋回して小さくなっていく飛行機を、ぼくは直視することができなかった。
いつか辿り着く未来でも青空の色が変わらぬよう、ぼくはただ、願った。
境内の澄んだ空気には二人の声と、新聞配達の音だけが響く。
「もし…」
続きの台詞が出てこなくて、ぼくは口を閉じた。
若過ぎるぼくらには、出会いも、時間の流れもあまりに早過ぎた。
まだ愛の言葉を知らないぼくらは、必死に互いの存在を確かめ合うように、最初で最後のくちづけを交わした。
明るくなった境内に佇む古びた外灯が最後にジリリと鳴いて、消えた。
潮風と轟音。
雲一つない青空の中、大きく旋回して小さくなっていく飛行機を、ぼくは直視することができなかった。
いつか辿り着く未来でも青空の色が変わらぬよう、ぼくはただ、願った。
青春
公開:18/05/21 12:11
更新:18/05/21 16:48
更新:18/05/21 16:48
登場することが趣味です。
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます