夏の少女

父の遺品整理をしていたとき35mmのコンパクトカメラが出てきた
ドイツ製で無骨なデザイン
友人のとても多い人だった

カメラ店で点検をしてもらい、簡単な操作方法を教わる
数本フィルムを購入

海でも撮ってみよう
助手席にカメラを乗せ高速道を走る

一般道へ降り、海岸近くのコンビニに車を止めコーヒーを買い求める
小さな浜辺が見えた

車道を渡りカメラを構える
シャッターは”コト”と独特の音がする
角度を変えて数枚撮った

視野の隅に少女がいた
白いワンピースにネイビーのクロックス
高校生くらいだろうか
彼女を撮りたい

「海をバックに撮させてもらえませんか？」
少しほほえみ、快諾を表した

海、砂浜、少女
ファインダーを覗きながら適度な構図を探した
コト
ズームする
なんて透明感があるのだろう
夏の少女がいる
コト

プリントして彼女に渡そう
「来週のこの時間にここで会えるかい？」