願いごと
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祖母は亡くなるとき、幼い私に琴、そして、ある言葉を残しました。
「七夕の夜、この琴を弾くとひとつだけ願いごとが叶うのよ。でも、気をつけて。願いごとは一生に一度だけしか叶えられないから…」と。
月日が経ち、私はあの時の祖母の歳を追い越そうとしていました。夫と娘、娘婿と孫…幸せな家庭に恵まれた私には、叶えて貰いたいような願いごともなく、琴は押入れにしまったままになっていました。
しかしある年の七夕の日。ふと、琴を弾いてみようと思ったのです。
特に願いごともなかったので、“このままの暮らしが続きますように…”と平凡な願いを込め、ゆっくりと『たなばたさま』を弾きました。
弾き終わったとき、琴に何かが刻まれているのに気づきました。
人々の切実な願いを叶えてくれる、この琴には名前があったのです。
“願い琴”という素敵な名前が。
「七夕の夜、この琴を弾くとひとつだけ願いごとが叶うのよ。でも、気をつけて。願いごとは一生に一度だけしか叶えられないから…」と。
月日が経ち、私はあの時の祖母の歳を追い越そうとしていました。夫と娘、娘婿と孫…幸せな家庭に恵まれた私には、叶えて貰いたいような願いごともなく、琴は押入れにしまったままになっていました。
しかしある年の七夕の日。ふと、琴を弾いてみようと思ったのです。
特に願いごともなかったので、“このままの暮らしが続きますように…”と平凡な願いを込め、ゆっくりと『たなばたさま』を弾きました。
弾き終わったとき、琴に何かが刻まれているのに気づきました。
人々の切実な願いを叶えてくれる、この琴には名前があったのです。
“願い琴”という素敵な名前が。
その他
公開:18/05/22 18:19
書くこと、読むことが大好きな社会人3年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』
note https://note.com/sumire_ssg
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