魔法のステッキ

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亡くなった父が残してくれたのは、どんな願いごとでも叶えてくれるステッキ。ただし、使えるのは一生に一度。
最初に使おうと思ったのは、大学受験の時。楽して受かりたいなんて思ったけど、結局もったいなくて使えなかった。次に使おうとしたのは片思いの彼女に告白しようとした時。悩んだ末、ステッキの力でOKをもらっても嬉しくないと、使わずに告白。結果、その後彼女と付き合い、結婚し、子供にも恵まれた。
仕事で大きなチャンスがきた時。子供が受験の時。使いたいと思ったことは何度もあったのに、使わずに最期を迎えた。良い人生だった。家族に見守られ、私は……。
いや、待て。あれ、あの引き出しにあんなものやこんなものが!死んだ後に見つけられたら、キャーどうしよう。お願い、ステッキ!
その時、ステッキが輝き、病室で寝ている私の上に、あんなものやこんなものが降り注いだ。私は驚愕の表情で、静かに息を引き取った。
ファンタジー
公開:18/05/22 11:53
更新:18/06/08 00:00

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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