第二回戦

魚と海亀が泳ぎの競争をしていた。
魚はもちろん、海亀も泳ぎのスピードでは負けず劣らず、一進一退の攻防を繰り広げていた。

二匹は横一線で泳いでいたが、勢い余って漁の仕掛け網に引っかかってしまった。
必死にもがいてみるが、どうにも抜け出せ無い。
「残念だが、今回は痛み分けで引き分けだ」
魚からは諦めの表情を浮かべた。
しかし海亀は対照的に、落ち着いた表情をしていた。
「我々海亀は、今のように偶然捕獲されてしまった時は、放流するのがルールなのです」
その言葉通り、海亀がかかっている事に気づいた漁師は優しく網を取り、そのまま海へと戻した。
「それはズルいじゃないか！」
結果として魚は漁師に邪魔され戦線離脱、海亀はゴールに向かってゆっくり泳いでいった。

「陸の時は、貴方もズルをしたでしょう？」
不運にも負けてしまった魚は、顔が兎に似ている事からラビットフィッシュと呼ばれている。