小旅行

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くそったれな日々は続く。カラオケをしたあとの喉の痛みと、深夜29時の商店街のアスファルトの黒い濁り、汚れ、全て愛おしい。シャッターの閉まっているガランとした一本道で煌々と光を放つ牛丼屋。今きっとしじみ汁が美味いはずだ。僕は迷わず牛丼屋に入る。携帯のバッテリーは落ちた。外の暗闇は宇宙で、僕は牛丼の惑星にいるようだ。クレーターのように凹むカウンターからぬるいH2Oが運ばれ、宇宙人は肉片と炭水化物をよそう。僕ははそれを頬張り、満足するほど口にかきこんだあと、しじみ汁を飲んだ。カラオケで見た光景がふと浮かぶ。くそったれ。地球に戻ってやる。僕は宇宙船を出た。暗闇の宇宙の先には君が立っていた。輝いていた。くそったれな男と腕を組んで。『ボンッ』またやり直しだ。ビッグバンが起こり、僕の小宇宙はゼロになった。
青春
公開:18/05/20 13:36
更新:18/05/20 14:12

山口 渚

ショートショート、ポエムが好きです。長ったらしい純文学も好きです。削ぎ落とされた言葉の繋がりが好みです。
Twitter:@sensesensedance

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