重なる想い

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 七夕の夜、俺は短冊に『妻がいつまでも健康で長生きできますように』と書いて、ベランダに飾ってある小さな笹に結んだ。
 隣で「お願いすることは一緒だね」と言いながら妻も短冊を笹に結んでいた。
 俺は喜びながら妻が笹に結んだ短冊を読んでみた。
『私がいつまでも若く健康で長生きできますように』
 俺は妻のことを考えているのに、妻は俺のことを考えていなかった。
「君は俺の健康を神頼みしてくれないんだね」
「当たり前じゃない。あなたの健康は私が責任をもって管理するんだから。大事なことは神様にだって任せられないわよ」

 夜も更けた頃、並んで結ばれた短冊は夜風で寄り添って揺れていた。
その他
公開:18/05/20 09:57
更新:18/05/20 09:58

新屋鉄仙( 札幌 )

小説サークル『堕楽堂』代表。鉄仙のショートショート(https://www.tessenshortshort.com)を運営している北海道札幌市在住の物書きです。現在、11月の文学フリマ東京で発表する4000字以上の作品を募集中です(https://www.tessenshortshort.com/entry/2018/09/28/224012)。

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